はじめに
筑後川によってもたらされる豊富な水と肥沃な大地の広がる筑後地方は、米と小麦の二毛作が盛んな土地柄で、うどんを食する文化が古くからありました。
うどんで有名な地域は、全国各地にありますが、そこには地域の食文化に根ざした多種多様な麺が存在します。
讃岐うどんで有名な香川では、食べ応えのある強靭な「コシ」をもつ麺が好まれるようになり、讃岐うどん=コシのある食感が特徴となりました。
一般的に、うどんはコシが命と言われますが、コシにもイロイロありまして、私たちの住む筑後地方で好まれるうどんのコシは「ふんわりねばりコシ」なのが特徴です。
その昔、うどんは各家庭で手打ちされる自家製麺が主で、忙しい農作業の合間に時間を掛けずに作ることができ、主食のご飯を食べる時の汁物(味噌汁等)、おかずとして位置づけられていたため、軟らかな粘りのある食感が好まれました。
麺がご飯の「おかず」として食べられるのは、他の地域から見ると、とても珍しい食文化なのかも知れません。
ふんわり軟らかく、なお且つモチモチとした麺は、昆布やカツオ、そのほかの素材からとったダシを吸い込みやすく、麺とつゆが一体となってその旨さを増します。
また、軟らかな麺は赤ちゃんからお年寄りまで幅広く食すことが出来るので、筑後地方にうどん好きな方や、うどん店が多い理由の一つなのかもしれません。
時代の変化とともに、自家製麺に代わり、うどんづくりを専門とする人が現れ、今ではこの地域だけでも約180店を数えるうどん店があり、それぞれのお店で「麺」「つゆの味」「トッピン具」「おかずのサービス」などに工夫を凝らしており、店それぞれの特徴、個性があります。
一つの型にハマるのではなく、バリエーションの豊富さも、ある意味では筑後うどんの特徴なのかもしれません。
筑後うどん振興会とは?
今から20年程前から始まった、全国各地のご当地ラーメンブームにより、「とんこつラーメン発祥の地“久留米”」の認知度は一気に全国区となり、久留米(筑後地方)の麺=「ラーメン」を誰もが発想するようになりました。
このことに危機や好機を感じた、筑後地域のうどん店の有志が、昔から食され、愛されている自分達のうどんを「筑後うどん」としてブランド化するとともに、食を通じた地域経済の活性化への寄与、うどんの消費拡大、組織化による会員相互の親睦・改善発達を目指し、平成16年に筑後うどん振興会(23事業所)が発足しました。(平成23年に再編成 現在16事業所)
筑後うどん振興会では、定期的に例会を開催し、お客様へいつでも“美味しい筑後うどん”を提供できるよう、また、日本三大うどんの一つと数えられるよう、様々な勉強会や活動を続けて参ります。これからも各店をご愛顧いただきますようお願い申し上げます。